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帰山栄治作品解説集

ハ短調の序曲

編成 演奏時間
Mn1 Mn2 Ma Mc Gt Cb 13分
演奏日時 備考 演奏団体
1969.5.2 初演 名大春演
1970.12.15 神戸大15回定演
1971.3.27 神戸大松山特別演奏会
1971.4.29 名大春演
1971.5.4 神戸大春季特別演奏会
1971.11.18 岐阜大8回定演
1973.10.29 京都教育大14回定演
1973.11.24 富山大12回定演
1974.6.28 九州大72回定演
1974.6.8 チルコロ・マンドリニスティコ・ナゴヤ14回定演
1974.11.30 岐阜大11回定演
1975.12.6 上智大14回定演
1975.12.7 神戸大20回定演
1977.7.7 岐阜大サマコン
1977.12.3 岐阜大14回定演
1978.12.9 神戸大23回定演
1979.12.8 北大56回定演
1979 北陸学生マンドリン合同演奏会(金沢大・富山大・富山医薬大合同)
1980.1.19 名大22回定演
1980.11.23 富山大19回定演
1981.11 小樽商科大13回定演
1981.12.20 神戸大26回定演
1984.12.8 神戸大29回定演
1986.5.16 上智大26回定演
1986.11 小樽商科大18回定演
1987 北陸学生マンドリン合同演奏会(富山大・富山医薬大ブロック)
1988.12.9 北大65回定演
1993.5.1 名大春演
1995.12.22 岐阜大32回定演
1997.7.12 北陸三県社会人マンドリン13回合演
1998.8 全マン岐阜大ブロック
1998.12.12 北大75回定演
1998.12.26 名大41回定演
2003.5.10 神戸商科大54回定演
2006.6.17 コンコルディア第34回定演
2007.12.28 名大50回定演
2010.9.5 チルコロ・マンドリニスティコ・ナゴヤ52回定演

瞑想的なギターの完全5度の和音で曲は幕を開ける。Pizz.、シンコペーションにより不安定に何度ももたりながら、たどたどしく進行してゆく。その不安はだんだん増大してゆき、Allegroに突入し、そこでシンコペーションで第一主題が呈示される。序奏部を追い払うかのように攻撃的、かつ情熱的である。それが一段落ち着くと、束の間の静けさが訪れる。その中で沈痛な第二主題がチェロ、ベースによって不気味に鳴り響く。第二主題はギターのPizz.に彩られつつマンドリンに受け継がれ、勢いを増してゆく。それが最高潮に達するとそれを突き破って第一主題が復活する。そして息もつかせぬ力強く激しい展開を見せる。

やがて哀切たる旋律が流れるが、美しいギターのメロディーに取って代わられ、それによってマンドリンがやすらぎを表現する。しかし再び第一主題が暴れまわり、第二主題が高らかに再現され、曲は最大の山場を迎える。そしてPrestoに入り、狂気の世界が激しく演出されたあと、やるせなさを残しつつ、静かに消えてゆく。

ハ短調の序曲」は氏の26才の初の本格的作品であり、マネンテの「メリアの平原にて」、ファルボの「序曲ニ短調」がベースになっている。曲のテーマは「苦悩」であり、それは次々に襲いかかってくる。これは青春の葛藤である。あふれんばかりのエネルギーをもてあまし、それゆえに内なる矛盾との闘いに激しい火花を散らし、時には絶望し、打ちひしがれたり、なんとかやすらぎを見つけたりしながら乗り越えてゆこうとする若々しさが生々しく、まるで脈々と血が流れているように描かれている。

(広瀬)


1994年、東マン名大ブロックのために「舞曲風ロンド」を作曲した田中順子女史は、「ハ短調の序曲」のスコアを見て、「この人は作曲法を勉強したことがあるのですか?」と尋ねたそうである。芸大で作曲法を学ぶ女史にとっては、「ハ短調の序曲」は稚拙に見えたに違いない。
しかし、この曲が氏の作品の中でも未だに多く演奏されている事実は、曲が受け入れられることと作曲技法の巧拙との間には必ずしも正比例の関係が成立するわけでないことを意味していよう。氏の溢れる思いは、技法の巧拙に関わらず、作曲後25年を経た現在に至ってもなお我々の心をつかんで止まない。

(Yas)



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