「CAPRICCIO for Mandolin Orchestra」の版間の差分
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2020年3月26日 (木) 10:41時点における版
編成 | 演奏時間 |
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Mn1 Mn2 Ma Mc Gt Cb | 8分 |
演奏日時 | 備考 | 演奏団体 |
---|---|---|
1974.12.7 | 初演 | 神戸大19回定演 |
1980.12.23 | 名大23回定演 | |
1986 | 小樽商科大 | |
2007 | コンコルディア35回定演 |
本作品は氏の作品遍歴の中でも最も難解で、実験的なものが連なっている1970年代中期のもの。現代邦人作品が多く生まれはじめ、独自の作風を求めて試行錯誤を重ねていたであろう事を彷彿させる。カプリッチョとは19世紀の作曲家が、愉快で気ままな器楽的小品に好んでつけた音楽様式で、邦題では奇想曲、狂想曲と表記される事が多い。本作も初期の焦燥感に満ちた攻撃性は後退し、音の羅列を気ままに重ね合わせ、響きの実験のような雰囲気を醸している。同時期にはモダンバレエ『ニジンスキーへのレクイエム』やクラリネット、ヴァイオリンとチェロのための「トリプロ」など、マンドリン系に留まらない 幅広い分野での作品が発表され、氏の音楽表現の幅が一気に拡がっていっていた事も想像に難くない。
不意をつくようなピックの一撃とppのトレモロに開始されるが、楽想の変化は唐突で、音列の規則性も希薄なまま、ギターのラプソディックな表現を間に挟んで、次第に盛り上がってゆくが、氏ならではの撥弦楽器を強く意識した表現が生々しい。そうした中、常に『邦楽』を感じさせているのが氏の本曲での狙いかもしれないと、練習を重ねながら感じた。暗澹たる将来への不安や、ニヒリズムに支配された若者の内面を描いて、それが突き抜けてしまった結果の諧謔性だとすれば、もはやブラックユーモアといっても過言ではないだろう。
(コンコルディアの曲目解説より許可を得て転載)