ギター合奏曲第3番「静流」

提供:帰山栄治作品解説集
2018年10月20日 (土) 09:14時点におけるKumeuchi (トーク | 投稿記録)による版
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
ナビゲーションに移動 検索に移動
演奏時間
12分
演奏日時 備考 演奏団体
1980.11.21 初演 愛知大学名古屋校ギターアンサンブル
1987.12.10 愛知大学名古屋校ギターアンサンブル25回定演

第1部、第2部、第3部から構成されるが、その名が示す通り、第2部を除いて静寂のうちに幽玄な音の世界が進行してゆく曲である。何かを暗示するような2つの和音によって、曲は開始される。次いで、開始時の2つの和音が変形されて何度も現れ、それと交錯しながら三連符を主体とした流れが始まる。そしてその三連符の流れに見えかくれしながら、ノスタルジックな第1主題が、3rdの低音によってうごめくように歌われる。

(譜例省略)

第1部は、第1主題を中心に進められるが、それは、地下からわき出る熱い情熱を秘めた音楽である。第1部が終わると、その情熱をぶつけるような第 2部が始まる。躍動する人間の生命力を讃えるように曲は進み、接続部をはさんで再び盛り上がりを見せ、頂点に達した所で第2部を終える。不気味な静寂の後、突如として曲の冒頭の2つの和音が現れ第3部となる。第2部での情熱の爆発が、いかにも過去のことであったかのように平和な、そして、回顧するような雰囲気につつまれた音楽が展開された後、再び冒頭の2つの和音によって静かに曲を閉じる。決して華やかな作品ではないが、内容の濃い傑作である。

初演は、1980年に愛知大学(名古屋)ギター部によって行われている。

(愛大ギター部25回定演パンフより)


メインページ