マンドリンオーケストラの為の三楽章第3番
編成 | 演奏時間 |
---|---|
Mn1 Mn2 Ma Mc Ml Gt Cb Picc Fl Ob Cl Fg Timp スネアドラム スタンドシンバル シロホン カンパネラ(グロッケン) | 39分 |
演奏日時 | 備考 | 演奏団体 |
---|---|---|
1973.12.20 | 初演 | 名大16回定演 |
1974.12.2 | 上智大13回定演 | |
1978.12.15 | 改作 | 名大21回定演 |
1984.12.11 | 名大27回定演 | |
1989.12.13 | 名大32回定演 | |
2000.6.24 | コンコルディア28回定演 |
本曲は、1973年、名古屋大学ギターマンドリンクラブの委嘱により作曲され、1978年改作され、同じく名古屋大学ギターマンドリンクラブの手によって初演された。
この曲の一つの特徴は、その編成の大きさにある。すなわち、ピッコロ1本、フルート・オーボエ・クラリネット・ファゴット各2本、各種パーカッションとマンドリンオーケストラで、計18パートに及ぶ(もっとも、この程度は、鈴木静一氏の曲であれば驚くに値しない)。かなり重厚でシンフォニックな曲になっていると言えよう。
氏が本曲を作曲した時期には、「Ouverture Historique」以降の氏の作品の特徴である大胆なリズムや新しい和声という面からのアプローチによって、「序曲」「うねり」「劫」など様々な傑作が生まれている。中でもこの「三楽章第3番」は、全面的な改作により曲調が整理され、より洗練されてほぼ新曲同然に生まれ変わり、氏の並々ならぬ意気込みがダイレクトに伝わる名曲となった。
第一楽章
スネアドラムの不気味な序奏に、第一楽章全体を支配するリズムが暗示され、1st、2ndのきざみに乗ってドラ、ギターが主題を提示する。木管各パートによるパートソロを経て全パートが出揃い前半のやまを形成する。
中間部では、テンポを遅くして主題が各パートにより変奏され、静かなギターのパートソロを経て次第にテンポを増す。全体による力強い8分音符のきざみでクライマックスを築いた後、一旦おさまってpで主題が奏されるが、再び膨れ上がり、最後は、木管、ドラにより力強く主題が奏され、fffの響きをもって終わる。
第二楽章
この楽章では二重調性が使われている。
1st、2ndの静かな和声の変化により始まり、ギターが間に半音階的な16分音符のスケールを入れる。オーボエによって主題が提示され、続いて各パートが和声を変化されながら、あるいは副旋律をバックにして主題を変奏する。最後はppで静かに終わる。
第三楽章
陰旋律の旋律を縦にばらしたという激しい和音の序奏に始まる。1st、2ndの8分音符のきざみで、6/8と4/8の組み合わせによる第一主題が暗示され、その8分音符に乗ってファゴットが第二主題を提示する。前半は一貫して第一主題が反復される。
一旦落ち着いた後、中間部では1st、2ndの三連符をバックにクラリネット、ドラが力強く第二主題を奏する。そしてそれは各パートによって変奏される。序奏が再び現われ、ティンパニから始まる各パートのパートソロを経て、2つの主題が同時に奏される。勢いを失うことなしに、8分音符の力強い、激しいきざみで一気に曲は終わる。
(田澤&加藤)