Ouverture Historique No. 3

提供:帰山栄治作品解説集
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編成 演奏時間
Mn1 Mn2 Ma Mc Gt Cb 19分
演奏日時 備考 演奏団体
1980.12.23 初演 名大23回定演
1982.8.5 全マン名大ブロック
1983 金沢大19回定演
1985.4.2 神戸大大阪演奏会
1985.5.11 名大春演
1985.12.20 上智大25回定演
1989 金沢大25回定演
1999.6.26 コンコルディア27回定演
2007.1.28 2006改定版 MTC Winter Concert

"Ouverture Historique"は1970年以来原則として10年に1曲ずつ作曲されており、この曲も例に漏れず1980年に作られている。現代和声・複雑なリズムが有機的に組み合わされている第2期の典型的な曲と言えよう。

しかし、若干インパクトに欠けることは否めない。大作で個々の部分はしっかりした構成ではあるが、それらが1つにまとまっていなく、また、印象に残らない旋律もこの曲の存在感の薄さに役立っている。

氏自身も「改作したい」とのことなので、今後が期待できる。

なお、中間のギターパートソロはなかなか美しく一聴の価値がある。

(Yas)


本曲は、MTC 2007 Winter Concertに合わせて2006年に表情記号や繰り返しなどの細部が見直された。

音楽的な仕掛けが随所に仕込まれていて、ミステリー小説のように曲が進むにつれて答えが提示されていく。

例えば最初に低声部で提示される主題は、Menoのリズムと組み合わされて最後の締めくくりに使われ、アレグロで提示される16分のスケール的な動きは、何度も形を変えて提示され、最後に解体されて曲を締めくくる。

純粋な美しい中間部は、音楽的試みの中のサービスというよりも、仕掛けをわかりにくくするために用意周到に仕組んだと思わせるほど、手の内を容易に明かさないこだわりを感じる。

他のOuveruture Historiqueが、アレグロで一気呵成に攻め立てる印象が強い中で、音楽的なこだわりに満ちたNo. 3は異なった印象を受ける。

音楽的なこだわりが理解できるかどうかで、本曲の印象は大きく変わるだろう。

(Tanaka)




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