Ouverture Historique No. 4

提供:帰山栄治作品解説集
ナビゲーションに移動 検索に移動
編成 演奏時間
Mn1 Mn2 Ma Mc Gt Cb グロッケン シロホン スネアドラム スタンドシンバル 23分
演奏日時 備考 演奏団体
1982.12.4 初演 神戸大27回定演
1983.6.7 名大東京公演
1984.7.29 改作 名古屋マンドリン合奏団「行ってきます」コンサート
1985.11.30 神戸大30回定演
1986.5.13 名大春演
1986.12.5 北大63回定演
1988.8.12 全マン名大ブロック
1988.11 小樽商科大20回定演
1989 京大28回定演
1991.5.6 名大春演
1995.11.25 九州大113回定演
1996.12.21 名大39回定演
2003.11.29 九州大128回定演
2004.5.1 明治学院大
2008.6.21 2007改訂版 コンコルディア第36回定演
京大
中央大(初演版)

本曲は、1982年、神戸大学マンドリンクラブの委嘱により作曲され、さらに1984年に帰山氏を団長とする名古屋マンドリン合奏団(チルコロ)のソ連親善公演旅行のために、改作されたものである。

本曲が作曲された1982年は、日本音楽界の様々なジャンルの人々の手により「反核、日本の音楽家たち」という会が発足された年である。「反・核兵器」「原子力エネルギーの平和利用」という名の下に結集された音楽活動の一環として、本曲の副題に "「反核、日本の音楽家たち」発足の年に" と明記されたのは、改作の折のことである。

本曲においても、一連の作品同様に、強いアクセントや変化に富むリズム、拍子の変化の多用、そして重厚で大胆な音の使用という特徴は現われている。そして、本曲においてはパーカッションが加えられたことにより、それらの特徴が鮮明に、かつ色彩を増している。

構成は大まかに緩-急-緩-急に分けられ、5拍子と3拍子を基本に作られている。

曲は3+2/4拍子の重々しいリズムで始まる。やがて3/4拍子に乗って、1stが神秘的な主題を奏する。この旋律が様々に形を変えて現われて、曲は突如としてAllegroに突入する。ここではまず主題が提示される。次にそれが形を変え、3+2/4拍子の特徴的なリズムに乗って現われる。

やがて曲はAndante lentoに入り、落ち着きを取り戻す。前半に提示されたモチーフがきわめて重厚な和音の上に展開された後、印象的なギターのSoliが響く。そして、主題が現われた後、曲は激しく動き始める。

後半のAllegroでは、目まぐるしく拍子が変化した後、前半のAllegroが再現される。緊張が頂点に達すると、曲はCodaにはいる。Codaではさらに主題が力強く奏され、最後はH音の叩きつけるような強奏と優しいグロッケンの響きで曲を閉じる。

氏の作品に一貫してみられる、強い生命力と意志力、その反面のやりきれない寂しさ・苦悩は、本曲においても余す所なく表現されており、弾く者・聴く者の心を引き付けずにはいられない。 

(Yas)



メインページ