マンドリンオーケストラの為の三楽章第5番
編成 | 演奏時間 |
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Mn1 Mn2 Ma Mc Ml Gt Cb Vn Vc Fl Fg Timp シロフォン グロッケン シンバル トライアングル | ?分 |
演奏日時 | 備考 | 演奏団体 |
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2004.11.28 | 初演 | カエリヤマファイナルコンサート |
2011.6.25 | コンコルディア 第39回定期演奏会 |
本曲は、本コンサートのメインプログラムとして書き下ろされた。「三楽章」シリーズの第五作である。
第一作である「三楽章第1番」は1969年に作曲された。翌1970年には「三楽章第2番」、1973年には「三楽章第3番」と、立て続けに発表されたが、「三楽章第4番」の登場は1987年まで下ることになる。本曲までも10年以上の間隔がある。
いずれの作品も、深遠かつ重厚な世界が描かれた大作であり、演奏時間も30分を越える。第三作以降の間隔が空いているのは、作曲依頼の都合もあろうが、これだけの世界を描き切るには、それなりの助走期間が必要であった、ということなのであろう。
ところで、大作の代表的ジャンルである「交響曲」では、4楽章形式が一般的である。なぜ、「三楽章」なのであろうか。帰山氏に伺ってみたところ、「交響曲」を意識しつつも(各作品の構成・全体像は4楽章形式の影響を受けている)、古典的な形式の模倣に終わることを回避すべく、あえて「交響曲」としなかったという。そして、全体の長さのバランスなど、多方面にわたって熟慮を重ねた結果、「三楽章」の形式に辿り着いたとのことである。氏独特のジャンルと称してよいであろう。
特筆すべきは、第三作以降の編成の大きさである。第一作、第二作は、マンドリンオーケストラのみの編成であったが、「三楽章第3番」では、各種の管楽器・打楽器も加えられ、全部で18パートにも及ぶ(マンドリンオーケストラ単体では、通常7パート程度)。「三楽章第4番」も、ヴァイオリン、シンセサイザー、各種の打楽器が加えられた14パートで編成される。こうした編成は、マンドリンオーケストラでは珍しい。しかし、それゆえに、より重厚でシンフォニックな響きが築き上げられることとなる。
本曲でも、ヴァイオリン、チェロ、フルート、ファゴット、ティンパニなどが編成に加えられている。
新しい「三楽章」が描き出す壮大な世界を、じっくりと味わって頂きたい。
(広瀬:「カエリヤマファイナルコンサート」パンフレットより転載)